- 2026-9-12
- Enjoy This (観てほしい絵画展), Impression (絵画展の感想)
- コメントを書く

先日、東京都現代美術館で「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」を観てきました。
現在”多田美波”さんの作品は、ホテルや公園、役所などあちこちで見る事が出来ます。
おそらく、誰もが一度は彼女の作品を目にしたことがあるのではないでしょうか。
今回は抽象彫刻家&造形作家”多田美波”の大規模個展の様子を紹介しながら、私的鑑賞レビューをしていこうと思います。
|
【 目次 】 |
「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」展を観てきました!

今回は”多田美波”の大規模個展の様子を紹介しながら、レビューしていこうと思います。
日本を代表する抽象彫刻家&造形作家”多田美波(ただ みなみ)”さんの作品は、今ではホテルや公園、役所などあちこちで見る事が出来ます。
おそらく、誰もが一度は彼女の作品を目にしたことがあるのではないでしょうか!?
個人的にも非常に興味のある芸術家なので、これは絶対に見ないと勿体ない!
そんなわけで、先日「多田美波展」に行ってみたわけですが…

まずは私の率直な感想ですが、実にオモシロい!の一言に尽きます。
本当に一人の芸術家が作ったの??と思うほど多様で、これほど多彩に富んだ芸術家も珍しいと思います。
でも多彩に富んでいるとはいえ、原点は”幼少期”にあるのかな~という感じもある。
この「多田美波展」は時系列で作品が紹介されているので、彼女の作風の変化を感じながら鑑賞するとオモシロイと思います。
では、肝心の展示風景を交えて、観ていこうと思います。
・・・

※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・左:「変電所L」(1957年)多田美波、板に油彩
・右:「題不詳」多田美波、カンヴァスに油彩
前半は多田美波さんの初期の作品が展示されていました。
この展覧会は、基本”時系列”で作品が紹介されているので、簡単ですが生い立ちも踏まえて話していこうと思います。
多田美波さんは1924年に、父が鉱山技師の職に就いていたのが理由で赴任先の台湾”高雄”で生まれます。

「炭鉱」(1957年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・板に油彩、東京国立近代美術館所蔵
幼少期は台湾や韓国などで暮らしていたためでしょうか、また鉱山とも関りがあったからか!?
初期の作品からも、その影響が読み取れます。
上↑は多田さんが30代前半の作品「炭鉱」で、まさに鉱山との関係も読み取れる一枚です。
私は観た瞬間、抽象絵画の先駆者とも言われるロベール・ドローネーの作品を思い浮かべてしまいました。

「題不詳」多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・板に油彩、砂、砂利、メッシュ布
そして1960年代に入ると、画風に大きな変化が現れます。
平面から、立体的な作品へ変わっていったのです。
平面上の作品では”自由な表現”に限界があると感じたようで、アクリルや布などこれまでとは異なる素材も取り入れていったそう。
上の画像では平面に見えますが、実は立体的に仕上がっています。
ぜひ、横からも観てほしい一枚です。

※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・左「虚」(1960年)多田美波、ブロンズ / 石
・中「発祥」(1960年)多田美波、ブロンズ
・右「作品 61-a」(1961年)多田美波、ブロンズ / 石

「作品 61-a」(1961年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・ブロンズ、石
今展で特に印象に残った作品が、この「作品 61-a」です。
私はこのブロンズ彫刻を見て、「幽遊白書」の戸愚呂弟の120%の姿を思い浮かべてしまいました。
当時好きなアニメだったというのもあるでしょうけど、もしくは私が筋トレ好き人間だからでしょうか!?
世代によっては、私が思った理由も分かってもらえるかと思います。^^

「周波数 373055MC」(1963年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・アルミニウム
この「周波数 373055MC」は、見て分かる通り立体的な抽象彫刻?です。
素材にアルミニウムを使っているのは、既存の価値観に囚われない造形を求めてだそう。
しかも結構巨大な作品なので、実際はもっと迫力があります。

「周波数 373055MC」(1963年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
一見ぐちゃぐちゃのアルミニウム板に見えるけれど、不思議とアートになっているから凄い!
また画風に変化が現れてきたとはいえ、素材にアルミニウム、つまり”鉱山”的な素材を使用しているのも私的には興味深い。
鉱山関係の仕事をしていた父の影響も、少なからずあるのかな?という印象です。
こういった作品からも、制作における原点は”幼少期”にあったと思わざる負えないわけです。

「周波数 37306776MC」(1967年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・アクリル、アルミニウム蒸着メッキ、アルミニウム
同じ「周波数」の作品ですが、こちらはまた違った雰囲気を醸し出しています。
見る角度によって、室内空間があれこれ歪んだ様に映るのも興味深い。
しかも他の来館者がいると、作品に映り込んでしまうから困ったもの…。
というか、人が写り込むのも”作品のうち”というわけでしょうか!?

「オートシンクローネ」(1973/2026年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・アクリル
まるで水面にシャボン玉が浮かんでるかの様な作品です。
立った状態で上から見てもイイし、座ってしゃがんだ状態で観るのもオモシロイ!
観る角度で様々な姿を見せてくれるので、これも実際に足を運んで観てほしい一枚です。
という感じで、前半は多田美波さんの初期から40代頃の作品が紹介されていました。

※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
壁や床が白一色の空間へと一変!
ここから「多田美波展」も後半へと差し掛かります。
チラホラと見えるステンレスっぽいモノや透明感のある作品。
展示空間の変化もそうですが、遠目からも作風の変化が感じられます。
・・・

「作品 No. 2」(1974年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・アクリル、アルミニウム蒸着メッキ
これは「作品 No. 2」で、これまで以上に光沢や光が増している感じがします。
室内全体が白一色なので、作品に映し出される空間も無垢に見えるのは私だけでしょうか!?

「Epicycle No.3」(1980年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・アクリル、ステンレス
作品名でもある「Epicycle」ですが、意味は「小円軌道」となります。
まさに作品名を彷彿とさせる作品です。
前半では絵画作品もあったけれど、後半になると周囲の環境を映し込む作品が増えていったのが分かります。

「Mirage」(1989年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・ステンレス、陶板 / リノリウム
これは多田美波さんが大塚オーミ陶業(株)で制作した、光と色彩を陶板で表現した作品です。

「翔」(1986年/2026年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・ステンレス
1980年代…
多田美波さんが最も脂の乗った時期だった様に思います。
1981年は吉田五十八賞、1983年には芸術選奨文部大臣賞を、そして1988年には紫綬褒章を受章。
これまでの日本の美術史において、多田さんほど評価された女性芸術家はいただろうか!?

「スペース」(2009年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・ステンレス
中庭に展示されている「スペース」という作品。
水面に映る館内の姿と、ちょっとした風でもゆらゆらと揺れる波。
今展の「凛と ゆれる」を象徴するかの様です。
私はこの作品に魅入ってしまい、下の案内板に足がぶつかってしまいました。
あぶなく躓き(つまづき)そうに!?
それほどまでに私を魅了した作品でした。
そして…

※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
薄暗い個室には計3つの作品が!!
ここは光と照明の融合した”光造形”の作品が展示されていました。
特に印象的で、私が圧巻!と思った展示空間でした。

「光造形 瑞雲」(1973/2026年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・クリスタルガラス、ボールチェーン ※リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション設置作品の再制作
純粋に美しい!の一言です。
ちなみにタイトルの瑞雲(ずいうん)ですが、一般的に”彩雲”と呼ばれるそう。
太陽光によって雲が赤や緑、青など多色の模様がまだらに見える現象で、「めでたい兆し」とも呼ばれる雲。
まさにタイトルを彷彿とさせる美しさ!だと思います。

「光造形 瑞雲」(1973/2026年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
よ~く観てみると、一つ一つのクリスタルガラスがオモシロイ形をしているのが分かります。

「チェーンデリア」(1963/2026年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・ボールチェーン、鉄 ※マツヤ・サロン、全共連ビルに設置されていた作品の再制作
これは「チェーンデリア」で、私が特に魅入られた作品です。
純粋に美しい!の一言しか出てきませんでしたね。
一つ一つは単なるボール型のテェーンなので、悪く言えば”円い鉄の塊”です。
でも、こうやって表現されると、非常に美しく見える。
鉄という素材を使用して、”女性らしさ”の感じられる作品へと昇華させる。
多田美波にしか成し得ない作品だろうと思います。
・・・

「瑞光」(2013年)多田美波 ※東京都現代美術館で開催の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」より
・カンヴァスに油彩、陶板レリーフ《瑞光》のための原画
最後はプリズムの様な光を描いた作品「瑞光」が展示されていました。
油彩画を陶板へと転写し、ラスター釉で仕上げたレリーフのための原画。
これまで絵画やブロンズ彫刻、アルミなど様々な素材の作品を観てきたわけですが、一貫して”光”が一つのテーマだった様に思います。
多田美波さんにとって、”光”が作品制作におけるベースだったのかもしれないですね。

という感じの、「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」展でした。
「多田美波」展は、東京都現代美術館で2026年12月6日まで開催します。
興味のある方はぜひ足を運んでほしいと思います。
「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」の開催概要

さて、肝心の「多田美波 ― 光、凛と ゆれる」は、以下の通りになっています。
|
【 『多田美波 ― 光、凛と ゆれる』展の開催概要 】 ・会期:2026年8月29日(土)~12月6日(日)まで ・時間:10:00~18:00 ※展示室入場は閉館の30分前まで ※11月の毎金曜日は20:00まで開館します。 ・観覧料:一般は1,600円(20名以上団体は1,280円)、大学生・専門学校生・65歳以上は1,100(880円)、中高生は640円(510円)小学生以下は無料 |

撮影禁止マークのある展示物以外は”基本撮影可能”になっています。
もちろん動画撮影やフラッシュ、三脚等の使用は出来ないのでご注意を!
立体的な作品は角度によって、違った姿を私たちに見せてくれます。
360度様々な位置から鑑賞し、あなたの好きな姿を写真に収めてほしいと思います。
興味のある方はぜひ!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。



















この記事へのコメントはありません。