- 2026-7-20
- Enjoy This (観てほしい絵画展), Impression (絵画展の感想)
- コメントを書く

先日、国立西洋美術館で「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」を観てきました。
版画を主体とした企画展なので、一見”地味!”に思うかもしれない。
でも内容は、意外なほど華やか!だったのには驚きでした。
これも”光と影の魔術師”の異名を持つレンブラント(Rembrandt)だからでしょうか!
今回は展示の様子を交えながら、「版画家レンブラント」展の鑑賞レビューをしていこうと思います。
|
【 目次 】 ・「版画家レンブラント: 挑戦、継承、インパクト」を観てきました。 |
※この「版画家レンブラント」展は巡回予定はなく、国立西洋美術館開催のみとなっています。
「版画家レンブラント」展を観てきました。(鑑賞レビュー)

先日、国立西洋美術館で「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」を観てきました。
私の様に”マクロ観察”が好きな人間からすると、今回の版画展は非常に興味有り!
というわけで、先日早速行ってきました。
しかも場所は私の好きな”国立西洋美術館”で、もちろんその後は『常設展』へ!という流れでした。

さて、一般的に”版画”というと、多くの人は”地味”に思うでしょう!
でも今回の「版画家レンブラント」展に関しては、思った以上に”華やかな内容”だったのには驚きでした。
これも、”光の影の魔術師”の異名を持つレンブラントだからでしょうか!?
白黒の版画なのに”不思議なほど明るさ”を感じられたからです。
少なくとも今回の展覧会で、よりレンブラントの凄さを実感できたわけで、これは私にとって大きな収穫でしたね!
特に圧巻!なのが、「百グルデン版画」…

「百グルデン版画」(1648年頃)レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン (※Public Domain画像)
・27.8×38.8cm、和紙にエッチング・ドライポイント・ビュラン、国立西洋美術館所蔵
特にレンブラントの凄さ!を感じられたのが「百グルデン版画(正式名は「病人たちを癒すキリスト」)」でした。
グルデン(Gulden)は15世紀~2000年頃まで使用されていたオランダの通貨単位で、「百グルデン」というタイトルは作品に付けられた値段が基になっているそうです。
この絵の最大の特徴は、キリストを中心とした複数のエピソード、つまり病人たちの癒しや子どもたちの祝福、裕福な若者の譴責(けんせき)などが一画面に集約され描かれている点です。
一枚の画面にこれだけの人物とエピソードを描くって、純粋にレンブラントの技量の高さを感じますね。

そしてもう一つ驚愕!だったのが、インクの滲み表現です!
白から黒へのグラデーション具合は、これって本当に版画なの?と疑いたくなるほど。
あえて和紙に刷られているのは、インクの滲みを利用するためだとか。
版画の技術的な事といい、レンブラントの凄さ!を感じられる逸品だと思います。
素人の私が言うのも何ですが、必見!です。
ここで、「版画家レンブラント」展の展示構成について触れてみようと思います。
今展はレンブラント・ハウス美術館との共催で、レンブラントのエッチング(腐蝕銅版画)を中心とした版画展になっています。
|
【 「版画家レンブラント」展の展示構成 】 1、レンブラント、版画の挑戦(Rembrandt: The Challenges of Etching) 2、受け継がれる遺産- 17-18世紀(Growing Influence: 17-18 centuries) 3、世紀を超えるインパクト - 19-20世紀(Enduring Impact: 19-20 centuries) |
前半はレンブラントのエッチングに焦点を当てた内容で、後半はレンブラントに影響を受けた画家たちの作品が展示されているといった具合。
また「エッチング技法について」の動画なども紹介されているので、版画に詳しくない人でも分かりやすい内容になっています。
今展は基本”撮影可能”になっているので、気になる作品があれば写真に収めるのもイイかと思います。
それでは、肝心の展示風景も見ていこうと思います。
・・・
1章の展示風景と鑑賞レビュー!

「雄豚」(1643年)レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・14.5×18.4cm、エッチング,ドライポイント、個人蔵
まず前半は、レンブラントのエッチングを中心とした展示になっていました。
今回、1章に占める割合は全体の約半分で、それらが庶民や宗教、風景などがテーマ毎に分かれて展示されていました。
おそらく、これほどのレンブラント版画を一堂に観れるって、なかなかないと思います。
想像しただけでもかなり凄い事だろうと思うわけです。

「物乞い」(1622-23年頃)ジャック・カロ ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・エッチング、国立西洋美術館所蔵
これはジャック・カロ(Jacques Callot)の作品。
バロック期に活躍した”版画の巨匠”とも言える存在で、レンブラントにも多大な影響を与えたと言われています。
個人的にも好きな芸術家なので、またジャック・カロの展覧会を開催してほしいものですね!

「木製の義足をつけた貧窮者」(1630年頃)レンブラント ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・11.4×6.6cm、エッチング、レンブラント・ハウス美術館所蔵
この様に同主題を比較する形で展示されていたのは良かったですね。
そういえば今回は版画主体の展覧会だというわけで、前もって”単眼鏡(ルーペ)”を用意してきたのですが…
持ってきておいて正解!でした。
こういった小さいな版画を観るには、”ルーペは必需品!だと改めて思った次第です。

「キリストの割礼」(1625年頃)レンブラント ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・21.4×16.0cm、エッチング、レンブラント・ハウス美術館所蔵
これはレンブラントの最初期のエッチング作品だそうです。
初期に制作されたものだからか、全体的に線が粗目なのが分かります。
こういった作品を観れたのは、私的には非常に嬉しい!の一言。
レンブラントは最初の方は、エッチング技法習得のため比較的シンプルな構図で小ぶりな作品を制作していったというわけです。

「アムステルダムの眺望」(1641年頃)レンブラント ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・11.2×15.3cm、エッチング、レンブラント・ハウス美術館所蔵
レンブラントが画家人生の大半を過ごしたアムステルダムの眺望です。
カーデイクという地点から眺めた景色で、実際の景色とは真逆だとか。
レンブラントは、正確に描くという事にはあまりこだわらなかったというのが垣間見れる作品です。

「アブラハムの犠牲」(1655年)レンブラント ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・15.6×13.1cm、エッチング,ドライポイント、国立西洋美術館所蔵
これは旧約聖書『創世記』に記されている有名なエピソードを描いた作品です。
イスラエル人の始祖アブラハムが、信仰の証として息子イサクを生贄に捧げようとしている場面です。
光の差している様子がちゃんと見て取れるのも、興味深い点ですね。

…という感じで、1章はレンブラントを中心とした展示になっていました。
元々エッチングは銅板に直接線を刻む”エングレービング”の代替技法と見なされていたそうです。
そんなエッチングにさらなる追求がなされ、線の表現や陰影に多彩な可能性を見出していったわけで、そういった意味ではレンブラントの版画への挑戦が見て取れる内容だったと思います。
そんな流れで、↓2章以降のレビューへと続きます。
2~3章の展示風景と鑑賞レビュー!
そして2章以降は、レンブラント以外の画家の作品が登場します。
つまりレンブラントのエッチングが後世に与えた影響力にスポットを当てた内容になっています。

「使徒たちに現れるキリスト」(1656年)レンブラント ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・16.2×21.0cm、エッチング、レンブラント・ハウス美術館所蔵
レンブラントは後世に多大な影響を与えたのは事実ですが、17世紀頃までは限定的だったそうです。
というのも、レンブラントのエッチング技術が凄すぎたから!だそう。
それが18世紀になると、一層関心が高まっていったそうです。

「フルハムの眺望(テムズ河岸)」(1859年)フランシス・シーモア・ヘイデン ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・11.3×27.7cm、エッチング,ドライポイント,シン・コレ、レンブラント・ハウス美術館所蔵
フランシス・シーモア・ヘイデン(Francis Seymour Haden)の作品「フルハムの眺望(テムズ河岸)」です。
ヘイデンはレンブラントのエッチングに触発された画家の一人で、しかも独学で習得したというから凄い。

『腐蝕銅版画家協会集:近代の銅版画』第1集扉(エッチングのめざめ)ジュール・ジャックマール ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・38.8×26.0cm、エッチング、町田市立国際版画美術館所蔵 ※8月16日までの展示です。
1862年5月31日”エッチングの普及”を目的に、腐蝕銅版画家協会が設立されます。
上はその出版物の扉を飾った画だそうです。
※今回一部展示替えがありますが、8月18日からはテオデュール・リボの「腐蝕銅版画家協会創立者アルフレッド・カダール氏」が展示されます。

「三本の木」(1643年)レンブラント ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・21.3×27.9cm、エッチング,ドライポイント,ビュラン、国立西洋美術館所蔵
レンブラントのエッチングの代表作とも言われる作品「三本の木」です。
明暗の対比もさることながら、激しく打ち付ける雨の描写も見もの!です。
シンプルな構図ながら、レンブラントの特徴が詰まった一枚だと思います。

カタログレゾネ(レンブラント全作品の記述と注釈) ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・・・

「ロンドンのヴィクトリア・エンバンクメントの眺め」(1890年)ウィレム・ウィッツェン ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・22.5×30.0cm、エッチング,アクアティント、レンブラント・ハウス美術館所蔵
オランダ出身の画家&写真家ウィレム・ウィッツェン(Willem Witsen)の作品です。
写真のネガを思わせる作風で、個人的にも好きな一枚。
今回特に印象に残った作品の一つでした。

「ソファに座るレーヌとマーゴット(No.2)」(1902年頃)メアリー・カサット ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・42.7×32.6cm、ドライポイント、国立西洋美術館所蔵
メアリー・カサット(Mary Cassatt)は画家というイメージが強いだけに、版画作品が観れたのは意外な発見でしたね。
今回個人的に嬉しかったのが、エドゥアール・マネやカミーユ・コローなどの版画が観れた事でしょうか。
油絵以外の作品を観れるって、実に新鮮で嬉しかったですね。

「〈ヴォラールのための連作〉:パレットを持つレンブラント」(1934年)パブロ・ピカソ ※国立西洋美術館の「版画家レンブラント」展より
・27.8×19.9cm、エッチング、石橋財団アーティゾン美術館所蔵
また最後の方では、ピカソの版画作品も展示されていたのは嬉しい誤算でした。
・「〈ヴォラールのための連作〉:パレットを持つレンブラント」(1934年) ※8月16日までの展示
・「〈ヴォラールのための連作〉:レンブラントと二人の女」(1934年) ※8月18日からの展示
共に石橋財団アーティゾン美術館所蔵です。
今回一部展示替え作品があるのですが、その内の一つがピカソの作品。
公式図録では両方の作品が掲載されているので、興味のある方は「図録」購入がおススメ!
・・・

…という感じの「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」展でした。
版画をメインとした内容にも関わらず、全体的に”華やかなさ!”を感じれた展覧会だったと思います。
”マクロ観察”好きの私にとっては、非常に満足!!
もちろん版画鑑賞初心者も十分楽しめる内容になっています。
(もう少し欲を言えば、”もっと展示してよ!~”と思う次第ですが、こればっかりはキリがないわけで…。)
とにかく、2026年9月23日(水・祝)までの開催なので、興味のある方はぜひ!
企画展「版画家レンブラント」展の開催概要

肝心の開催概要は以下になります。
|
【 「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」の開催概要 】 ・会期:2026年7月7日(火)~9月23日(水・祝) ・時間:9:30~17:30(金・土曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで |
※会期中、一部作品の展示替えがあります。
チケットと予想される混雑具合

「版画家レンブラント」展の観覧料は以下の通りになっています。
|
・観覧料:一般は2,200円、大学生は1,300円、高校生は1,000円 ※中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料 |
私の経験上から、予想される混雑具合…
版画の展覧会はそこまで混む事はないですが、レンブラントがメインなので土日はそれなりに混雑が予想されます。
また版画作品は小さいサイズが多いため、じっくり鑑賞するなら平日や早い時間帯など、比較的空いている時間帯がおススメ!
写真撮影と鑑賞時の持物について

今展は”基本撮影可能”となっています。
また版画をメインとした展覧会なので、”単眼鏡(ルーペ)”をお持ちの人は用意するのをおススメします。

鑑賞時の私のアドバイス!
館内入って1章付近は列をなして鑑賞する人が多いため並ぶ傾向にあります。
特に鑑賞の順番はないので、混雑していない場所から鑑賞する事をおススメします。
というわけで、今回のレビューを参考にぜひ足を運んでほしいと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。

















この記事へのコメントはありません。