数年前にもラファエロ前派展が
日本で開催した事があったのですが、ご存じですか?
改めて”ラファエロ前派”とは何だろう?
という事で
私なりに分かりやすく話していきたいと思います。
ラファエル前派とは?…
英語では”Pre-Raphaelite Brotherhood”
日本語に訳すと
”ラファエロ以前兄弟団”となるそうです。つまりラファエロ・サンティ以前の芸術や文化を規範とした芸術運動の事を言います。
特徴としては伝統的な構図を無視する事も多く、
鮮やかな色使いや繊細な描写といった
自然のありのままを表現した作品が特徴と言われています。
ラファエロ・サンティは1483~1520を生きた
古典的な絵画を完成させた天才画家と言われています。
レオナルド・ダヴィンチやミケランジェロと同じく
ルネサンス期を代表する画家の一人です。
37歳という若さでこの世を去るわけですが、
残した作品は数多く、調和のとれた完成された作品が特徴。
質の高い完成された作品を残している事から、
後世ではラファエロの作品を模範とされていたそうです。
多くの画家から見本とされていたのです。
でもその古典的な絵画に反発する形で、
ラファエロの以前の芸術を顧みようという動きが登場します。
それが
”ラファエロ前派”というものでした。
このラファエロ前派に参加した人は主に7人。
ジョン・エヴァレット・ミレイ、
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、
そしてウィリアム・ホルマン・ハントの3人が初期に参加
そして後にウィリアム・マイケル・ロセッティ、
ジェームズ・コリンソン、
フレデリック・ジョージ・スティーヴンス、
トーマス・ウールナーの4人が加わったのです。
彼らは伝統的、古典的なものを基本とするのでなく、
”自然本来のありのままを描く”ことを目指したのです。
簡単に言えば、
よりリアルな作品を目指したのです。
今でいう写真に近いものだと思います。
確かに今展『ラファエロ前派展』を見ていくと
リアリティのあるものばかりでした。
私が購入したポストカードを見ても分かりますが
どれも繊細で写真の様なリアリティのあるものばかり。
作品としての絵を描くというよりも、
ただ目の前にあるものを描く…
そういう感じだと思います。
その典型的な作品とも言えるのが、
「いにしえの夢 ー 浅瀬を渡るイサンブラス卿」(1856‐57年)ジョン・エヴァレット・ミレイ(※ポストカード)
…このミレイ・エヴァレット・ミレイの
「いにしえの夢 – 浅瀬を渡るイサンブラス卿」だと思います。
というのも、
馬が上半身(脚から上)しか描かれてなく、
画面全体から見ると不釣り合いに見えるのです。
構図とかをある意味無視して、
目の前に映る風景や人物をありのままに描いた様です。
これも写真の様なリアルさがあるので、
ぜひ本物を見てほしいですね!
ところで、ここで気になった点があります!
それは
”カラー写真の歴史と関係があるのかも?”という事です。
カラー写真の歴史を簡単に話すと、
カラー写真を紙に定着される技術が出来上がったのが1868年の事でした。
そして1900年頃から市場に出始めるのです。
実はちょうどこの頃に栄えたのが「ラファエル前派」です。
カラー写真の技術の進歩に従って、
この「ラファエル前派」の運動が弱くなっていった感じなので、
歴史の背景を見るかぎりでは、
リアリティでは写真を超えられなかったのかも?と思ってしまいます。
でも作品を見ると思いますが~
絵の具と筆でここまで繊細な描写で、
質感まで表現する技術は見ていてもスゴイと思ってしまいます。
ラファエル前派は絵画の歴史で見ると
本当に一瞬で終わってしまった運動です。
でも後世に残した作品は
誰がスゴイと思うモノばかりだと思うのでした。
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