- 2026-8-2
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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先日、藝大美術館で、「藝大式 美術の ”ミカタ” ― この夏、藝大生になる ―」を観てきました。
現役大学講師たちの講義を展覧会形式で鑑賞する!
こういった”洒落た試み!”が出来るのも、藝大美術館ならではと言ったところでしょうか。
思った以上に充実感を味わえたので、個人的にはおススメの展覧会だと思います。
今回は展示の様子も交えながら、私の鑑賞レビューをしていこうと思います。
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【 目次 】 |
藝大美術館で、「藝大式 美術の ”ミカタ”」を観てきました。

現役大学講師たちの講義を展覧会形式で鑑賞する!
こういった”洒落た試み”が出来るのも、藝大美術館ならでは!と言ったところでしょうか。
そこまで有名な作品が展示されているというわけではないですが、でも妙に釘付けになってしまったわけで、私的には思った以上に充実していた内容だと思っています。

個人的には非常に良かった展覧会なので、興味のある人は試しに行ってみるとイイと思います。
ちなみに今回の展覧会「藝大式 美術の ”ミカタ”」は、2026年~2028年の3年に渡って開催されるシリーズ企画だそうです。
毎夏に開催予定だそうで、また来年も行ってみよう!と思った次第ですね。
「藝大式 美術の ”ミカタ”」の展示構成
さて、ここで展覧会の展示構成について触れてみようと思います。
今回の「藝大式 美術の ”ミカタ”」は、現役の藝大講師陣の講義を展覧会形式で展開された内容になっています。
美術の歴史や鑑賞、保存修復など様々なテーマを、藝大美術館の所蔵作品や学生たちの作品を観ながら学べる仕掛けになって、しかも随所にワークショップなども併設され”体験”を通して味わえるのがオモシロい!
・1限:絵画基礎演習:模写してわかる油絵のミカタ
「まねぶ美術館 ~模写でよみとく美の手とこころ~」宮本 武典(絵画科油画専攻)
…実際の藝大生による模写の実演は必見です。
・2限:日本近代美術史概論:名画で学ぼう日本の洋画
「西洋美術に出会った日本 工部美術学校から東京美術学校へ」熊澤 弘(大学美術館)
…原田直次郎の「靴屋の親爺」や浅井忠の「収穫」など文化財指定の作品が展示されています。
・3限:西洋美術史概説III:西洋のかわいい?絵
「東京藝大で教わる西洋美術の見かた 女性画家ラグーナ玉の戦略」佐藤 直樹(芸術学科 芸術学専攻)
…女性画家ラグーナ玉の生涯をたどりながら、彼女の画家としての戦略に迫ります。
・4限:日本美術史特講II:日本美術の大事な話
「岡倉天心『茶の本』を読む」吉田 亮(大学美術館・総合監修)
・5限:日本画研究I:絵巻の模写はこうなる!
「古典模写 ー国宝絵巻をうつし、まなぶー」 高島 圭史(絵画科日本画専攻)
・6限:彫刻保存特殊講義:藝大式、仏像のお医者さん
「模刻から学ぶ仏像の保存修復」岡田 靖(文化財保存学専攻)
・7限:特別鑑賞演習:動物の目で作品を見てみよう
「藝大美術館に住む動物たち」丸山 素直(デザイン科デザイン専攻)
・8限:クリエイティヴ・アーカイヴ演習:見て、触れて、言葉にして
「鑑賞体験におけるデジタル技術の可能性」
・9限:地域文化研究:タイムスリップ!画家たちがいた東京
「大正〜昭和初期 東京の文化的変容」村上 敬(大学美術館)
・10限:近現代作家論:フジタを知っていますか?
「生誕140年 藤田嗣治 日々の記録」吉田 亮(大学美術館・総合監修)
・11限:リサーチプロジェクト演習:海を越えた学びをたどる
「東京藝術大学と中国人留学生 〜胡根天の留学と帰国後の活動~」牛島大悟
・12限:版画制作実習:なぜ?ゴッホのプレス機が藝大に
「ゴッホがつなぐ日本と西洋の版画」三井田 盛一郎&熊澤 弘
…実際にゴッホが使用したとされるプレス機が展示されています。
講義のタイトルに”演習”や”概説”とあるので一見難しそうに思えますが、でも内容は非常に分かりやすくなっています。
子供から大人まで誰もが、しかも楽しく鑑賞できる様に展示されているので、興味のある方はぜひ行ってみるのをおススメします。
今回は特に私が興味を惹かれた講義に絞ってレビューしていくので、ぜひ参考にしてほしいと思います。
展示風景を見ながら鑑賞レビュー!

それでは、肝心の展示風景を挙げながらレビューしていこうと思います。
計12コマで構成されている展覧会で、ここでは私が特に目を惹いた章について触れていこうと思います。
今展は一部の除いて撮影可能になっています。
1限:絵画基礎演習:模写してわかる油絵のミカタ
まず1限目は”模写”がテーマとなった内容の展示になっています。
西洋画において”模写”は重要な教育の手段で、黒田清輝など多くの先人たちも実践してきた事です。
”模写”を通して、どう「美のこころ」が解釈されてきたのか?
私的に一番の見所と思うのが、黒田清輝の模写作品たちです。
・「トゥルプ博士の解剖講義」(明治21年)黒田清輝の模本制作
・「羽根帽子をかぶった自画像」(明治22年)黒田清輝の模本制作
共にレンブラントの作品を模写した作品で、普段はなかなか見れる機会はないと思うので、とても貴重とも思える代物です。
また室内では、現役の藝大生による模写の実演も行われています。
実際に目の前で見る事が出来るって本当に貴重というか、オモシロイ試みだと思います。
ちなみに1限目は、撮影不可のエリアなのでご注意を!
4限:日本美術史特講 II:日本美術の大事な話

「五浦釣人」(1943年)平田中 ※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・高さ110.5cm、木、東京藝術大学蔵
岡倉天心の著書『茶の本』を通して、岡倉天心がどう日本の美術や文化を解釈していたのか?
東京美術学校(現在の東京藝術大学)の設立に関わり、近代日本の美術に大きな影響を与えた人物なだけに、私が思うに結構重要な講義だろうと思っています。
ここ最近下村観山展なども開催されたりと、天心との繋がりを考えさせられる機会も多いため、個人的に特に興味を惹かれた内容でした。
5限:日本画研究 I:絵巻の模写はこうなる!

「模写画材道具 一式」 ※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
5限目は古典絵巻の模写がテーマの講義になっています。
実際の学生たちのカリキュラムにもなっている「上げ写し」が取り上げられていて、実演の映像と共に画材の道具も紹介されています。また学生たちの研究成果、つまり学生が制作した古典絵巻の模写も展示されています。

「模写・国宝 信貴山縁起絵巻 延喜加持巻12」中村瞭佑 ※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・32.0×74.0cm、紙本著色、東京藝術大学蔵
パッと見は本物?にも思え、学生が描いたとは到底思えないものばかりです。
藝大生の画力の高さを感じさせられ、改めて”スゲ~”と思ってしまった私でした。
才能溢れる学生たちが本気で取り組んでいたと思うと、私の学生時代がいかに遊び惚けていたか…
(自分自身に呆れてしまった次第でした。)
6限:彫刻保存特殊講義:藝大式、仏像のお医者さん

「縮尺模刻・東大寺南大門仁王像」(2005年)岡田靖 ※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・FRP 紙粘土、江戸川学園取手中・高等学校蔵
6限目は”模刻”がテーマの章になっています。
”模刻”から仏像の保存修復の技法を学べる内容で、特に驚かされたのが「東大寺南大門仁王像」でした。
縮尺とはいえ高さは240cmほどあり、実際に見ると分かりますが結構な迫力です。(本物の像は8メートル程)
私の様な素人には”見分けが付かないくらい”ですが、実はこの仁王像は粘土から作られているそうです。

「快慶作大日如来坐像による木彫仏像技法研究」(1987年)信太司 ※藝大美術館の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・高さ107.0cm、割矧造(一部金箔彩色)、東京藝術大学蔵
こういった仏像の修復などにも関わっているわけだから、藝大出身者が日本の文化や歴史を支えていると過言ではないのかもしれないですね。
7限:特別鑑賞演習:動物の目で作品を見てみよう

「polka dots」(2007年)鍵野壮太 ※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・180.0×100.0×270.0cm、発泡スチロール,水性パテ,絵具,石粉など、東京藝術大学蔵
7限目は動物をモチーフとした様々な作品が登場します。
上の「polka dots」は水玉模様という意味で、巨大な白熊の体毛を白い粒粒で表現した作品。
どことなく草間彌生の作風にも通じる感じですが、でもこの白熊の方がちょっと不気味に感じてしまうのはなぜだろう!?

「《人物・風景・鳥獣・虫魚・草花その他》のうち鵜」熊谷守一 ※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・43.2×55.5cm、紙本淡彩、東京藝術大学蔵
9限:地域文化研究:タイムスリップ!画家たちがいた東京

※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・左:「少女」(1916年)中村義夫、116.4×90.8cm、東京藝術大学蔵
・右:「兄妹」(1924年)清水良雄、131.9×120.6cm、東京藝術大学蔵
9限目は大正時代~昭和初期の東京の文化的変容を作品と共に紹介されていました。
”地域文化研究”と記載されると、ちょっと堅苦しく感じてしまいますが、純粋に作品を観ながら当時の藝大の周辺や東京の生活文化を垣間見るのもイイかと思います。

「よろこびの曲」(1921年)伊原宇三郎 ※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・89.2×145.3cm、カンヴァスに油彩、東京藝術大学蔵
ここは絵画作品も多数展示されていて、私的には一番落ち着くエリアだったかと思います。
ほぼ日本の画家の作品で占められていて、あまり知らない画家の名もチラホラありましたが、画家に有名かどうかって関係ないな~って思いますね。
10限:近現代作家論:フジタを知っていますか?
10限目は近現代の画家”藤田嗣治”にスポットを当てた内容になっています。
”レオナール・フジタ”の名で知られる藤田嗣治ですが、実は東京美術学校(現在の東京藝術大学)の卒業生というのは有名な話です。
東京藝術大学は卒業生の制作作品も多く所蔵している事で知られていて、もちろん藤田嗣治に関する作品や資料も多く抱えています。
藤田の作品だけでなく、写真や手紙など貴重な資料も多数展示されています。
※10限目の展示エリアは基本”撮影不可”になっています。
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「版画印刷機」 ※藝大美術館で開催の「藝大式 美術の ”ミカタ”」より
・木、東京藝術大学蔵
そして最後の12限目では、実際にゴッホが使用したとされるプレス機(版画印刷機)が展示されていました。
本当に?と疑ってしまいそうですが、でも藝大だからありそうですよね!?
こうやって間近で見れると、実に興奮ものですよね!!^^

…という感じの「藝大式 美術の ”ミカタ” ― この夏、藝大生になる ―」でした。
今回は計12コマあり、さすがに全部の講義に興味を持てたわけではないですが、それでも「ヘ~!」と思わせてくれる講義ばかりだった感があります。
非常に惹かれる内容ばかりだったので、私的にはとても面白い展覧会だったと思います。
特段”注目作品”というようなものはなかったですが、不思議と魅入ってしまったわけで、これは”見せ方”が面白かったからでしょうか。
2026年9月23日(水)までの開催なので、興味のある方はぜひ足を運んでほしいと思います。
「藝大式 美術の ”ミカタ”」の開催概要

肝心の開催概要は以下になります。
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【 「藝大式 美術の ”ミカタ” ― この夏、藝大生になる ―」の開催概要 】 ・会期:2026年7月24日(金)~9月23日(水・祝) ・時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで ・観覧料(当日):一般は2,000円、大学生は1,200円、中・高校生は600円 |
※今展は一部を除いて”撮影可能”となっています。
興味のある方は、ぜひ!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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