”Biedermeier” ~「ウィーン・モダン展」を観て… ~

「ウィーン・モダン展」…国立新美術館にて

ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道」を観て…

 

今年(2019年)は日本とオーストリアにとって、
節目の年でもあるんですよね。

・・・

知ってましたか??

 

当の私は知らなかったのですが、
実は今年で国交が樹立してちょうど150年目になるのです。

つまり国交が樹立したのが1869年の事。
この年に”日墺(にちおう)修好通商航海条約”が締結されたのです。

 

そんな節目を記念して開催されたのが今回の企画展…

・・・

国立新美術館
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

略して”ウィーン・モダン展”
場所は六本木にある”国立新美術館”でした。

 

 考え…・思い…
まず今回の感想を手短に言うとしたら…

とても充実していて、構成も興味深い!
歴史の流れを追う感じで見れるのが良かったですね。

そんな歴史を通して絵画や建築、
衣装やデザインが予想以上に豊富だったのには驚きでした。

 

・・・

絵を見て感動!
早速ですが今回特におススメ!!

…そう思える画家がいたので先に紹介したいと思います。

実は今回が初めてではなかったのですが、
なぜか”オオッ!!”と思える衝撃が走ったのです。

 

その名は画家”ハンス・マカルト

クリムトやエゴン・シーレなど注目の画家が観れますが、
個人的にこの”ハンス・マカルト”に非常に惹かれてしまったのです。

「メッサリナの役に扮する女優シャーロット・ヴォルター」ハンス・マカルト

「メッサリナの役に扮する女優シャーロット・ヴォルター」ハンス・マカルト

 

どうでしょうか??
とてもイイと思いませんか??

今回見れる”ハンス・マカルト”の作品としては…
「1879年の祝賀パレードのためのデザイン画 ー 菓子製造組合」
「1879年の祝賀パレードのためのデザイン画 ー 織物製造組合」
「ハンナ・クリンコッシュ」などありましたが…

 

今回一番のお気に入りの絵が
ドーラ・フルニエ=ガビロン」という気品ある女性の人物画。
この絵は観た瞬間に
オオッ!!”と思うくらい魅力溢れる作品でした。
女性を魅力的に見せる筆遣いは凄い!!の一言ですね。

実はこのハンス・マカルトは
”画家の王”と呼ばれた画家で、
あのルーベンス以来の高評価を得ていた画家です。

これまで何度か目にした事はあるのですが、
改めて”これはイイ!!”と思ってしまったのです。

ぜひこれは観てほしいので、
行った際は気に留めてほしいですね!

 

さてここでちょっと
こんな話をしたいのですが…

・・・

あれこれ知るうちに…
オーストリアを含めたヨーロッパの歴史について、
私なりに簡単ですが話してみたいと思います。

 

この企画展は歴史を追う形で
芸術や文化の近代化がテーマになっているのですが、
この近代化への”1つの転換期”に
ビーダーマイヤー”の時代があると言われています。
(この時代は今展では第2章にあたります)

ビーダーマイヤー”とは…
ウィーン体制下(1815年)から1848年革命までの間に起こった
日常的なものへ目を向けようという風潮の事を言います。

おそらく歴史を習った人なら知っていると思いますが、
フランス革命”(1789年~1799年頃)が起こって、
その後ヨーロッパ大陸を舞台にした
ナポレオン1世が中心となった争いが各地で起こりましたよね。
世にいう”ナポレオン戦争”が起こったのです。
これによって市民の力も増してきたわけですが…

1815年の”ウィーン会議”によって、
フランス革命以前の王家を中心とした体制に戻そうという事になるのです。
(”ウィーン体制”の始まりです。)

いったん市民の力が強くなったかと思いきや、
結局王家の力によって抑えられる形になったのです。
そして市民は理想よりも
今の日常を大切にしようという風潮”が出てくるのです。
これが”ビーダーマイヤー”の時代と言われているのです。

…この時代の風潮が”近代化(モダニズム)”の
基盤になったと言われているそうです。

 

「ウィーン上空に浮かぶ熱気球」ヤーコプ・アルト

「ウィーン上空に浮かぶ熱気球」(1847年)ヤーコプ・アルト

 

これは1847年の作品なので、
ちょうど”ビーダーマイヤー時代”の作品だと思います。
ちなみにこの時代は日本でいうと”江戸時代”あたります。
それから考えるとウィーンはかなり発展していたのが分かりますね。

 

考え…・思い…
この絵を見て気づいた事なのですが、
すでにこの時期に熱気球があったのが分かりますよね。
それに気球には”人”らしきものが描かれているのです。

歴史的にも1783年には
モンゴルフィエ兄弟によって無人飛行が成功しています。
当時のウィーンを垣間見れる貴重な作品だと思います。
絵はよ~く見ると色んな事が見えてきて面白いですね!!(^^)

 

・・・

「ウィーンの邸宅で開かれたシューベルトの夜会」ユーリウス・シュミット

「ウィーンの邸宅で開かれたシューベルトの夜会」ユーリウス・シュミット

タイトルの通りこの絵にはあのシューベルト”が描かれています。

ピアノを弾いている男性が”フランツ・シューベルト”。
『魔王』や『セレナード』を作曲した事でも有名ですよね。

実は後々調べていて驚いたのですが、
彼は31歳という若さで亡くなっているのです。

 

・・・

それから第3章~4章に入ると
皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の時代の話になります。
(時代的には1848年~1916年頃)

この頃に大規模な都市計画を行うのですが、
これがきっかけで近代化へと大きく前進していくわけです。
その大きな肝となったのが”リンク通り”だったようです。

 

 考え…・思い…
この表現が適切かどうかは分かりませんが、
それまでのオーストリアの芸術は
日本でいう”鎖国”みたいなものかな~と思います。

それから独立してより外交的で
そして商業的な流れになっていった感じがします。

 

建築面ではその先駆け的存在が
オットー・ヴァーグナー”と言われているそうです。
当時保守的な人からは多くの批判もあったようですが、
近代建築の先駆けとして重要な人物だったと言われています。

オットー・ヴァーグナーPublic domainの画像を使用

”オットー・ヴァーグナー”の主張に
目的や素材、構造に応じた建築様式にすべきだ!”と。
まさに近代建築に繋がっているように思いますね。

まるで”ル・コルビュジェ”の考えに近い様に思うのですが、
そう思うと近代建築を予期していたのかもしれないですね。

そしてこの頃に、
今回の注目とされているクリムトも登場してくるのですが、
それは次で話していきたいと思います。

・・・

 

※ここで取り上げている画像や素材は、
”パブリックドメイン”などの画像を使用しています。
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