- 2019-7-28
- Impression (絵画展の感想)
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生誕125年記念「速水御舟展」を観て…
速水御舟の作品を120点も観れるって…
なかなかこんな機会はないと思います。
・・・

…こうもたくさんの御舟の作品と出会えるのも
別名”速水美術館”と言われる山種美術館だからこそだと思います。
そんなわけで今回は
山種美術館の「速水御舟展」について書いていきたいと思います。
…
速水御舟と言えば、
どうしても「炎舞」ばかりに目が行きがちです。
でもそれ以外にも
”素晴らしい作品”は多々あるのです。
実際に”オオッ!!”と思える絵がいくつもあったほどで…
例えば…

「柿」(1923年)速水御舟
これは1923年の作品「柿」
今回観た中で3本の指に入るくらい印象に残った作品です。
日本らしい”わび(侘)”と
”さび(寂)”が感じられる絵だと思いませんか!?
凄くシンプルで無駄のない絵なのに、
なぜか心に突き刺さってくるのが不思議なのです!
西洋画でも静物画は色々と見てきたけれど、
なかなかこういった絵は観た事がないですね。
おそらく速水御舟でしか描けない作品だろうと思います。
今回色々と速水御舟の絵を見てきましたが、
1枚の絵の中に必ずと言ってもいいくらい
一点に集中したこだわりがある様に思うのです。
おそらく御舟はコレを描きたかったんだろうな~
そう思えて仕方がない作品ばかりでした!

「炎舞」(1925年)速水御舟
御舟の大傑作とも言われる「炎舞」もそうですが、
描きたいものがあって、
描いている感じに思えて仕方がないのです。
これは焚火とその炎に群がる蛾の絵ですが、
御舟はこの絵を描くにあたって
何度も炎を観察していたと言います。
それにしても不思議なのはこの炎の”熱量”です。
仏画で描かれる様な炎だからなのか??
燃え盛っているのに、
あまり熱さを感じさせないのが本当に不思議です。
それにゆらゆらと浮かび上がってくる感じは
おそらく御舟でしか描けない炎でしょうね。
この「炎舞」を鑑賞する際のポイント!実は背景の黒が非常にポイントと言われています。 御舟はこの背景の黒は二度と再現できないとまで言っているほど。 |
今回色々見てきて思う事は、
御舟は”御舟自身で描いた”というよりも、
”そのモノによって描かされた”と言った方がイイかもしれません。
つまりは
無我の領域で絵を描いていたんだろうな~と思うのです。
それだけ絵が好きで、
絵描きにハマっていた感じが伝わってくるのです。
それが様々なジャンルへの
挑戦に繋がっているんだろうと思います。
・・・

「翠苔緑芝」(1928年)速水御舟
これは「翠苔緑芝(すいたいりょくし)」と呼ばれる屏風です。
ちなみにこの作品のタイトル
「翠苔緑芝」を読める人っていますか??
このアジサイの花の描き方は独特で、
これは御舟独自の技法で描いているそうですが、
こういった未知なる挑戦も御舟の絵の見どころだと思います。
速水御舟は風景画や静物画と色々と描いていますが、
でもデッサンは苦手だったんだろうな~と思う面もあるのです。
人によっては”速水御舟を天才”と言人もいますが、
決して天才ではなかったんだろうな~と思う一面もあって、
私が思うに御舟は絵が好きで努力の天才だったと思うのです。
ここで今回私が気に入った作品を挙げたいと思います。
上で挙げた「炎舞」と「柿」以外で…
「山科秋」(1917年)
「百舌巣」(1925年)
「鶴」(1932年)
これらも超チェック!の作品ですよ!
・・・
生誕125年記念で開催した今回の「速水御舟展」…
私にとってはなかなかの絵画展だったと思います。
そういえば今回ふと思った事があるのです!
それは御舟独特の作風を見ていて、
”ラファエロ・サンティ”とダブってしまう面も…
若くして亡くなった事もそうですが、
絵に対する独特な深みや…
ラファエロは特に人物画では天才的で、
対して御舟は
人物よりも風景や静物画が得意と言った感じなので
こういった対照的な面もありますが、
何だか不思議とダブル感じに見えるんですよね。
まだまだ日本画は見慣れていない私ですが、
そんな私でさえ”日本画ってイイな~”
…そう思えた今回の「速水御舟展」でした。
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